gm マンション考 Vol.24
住宅集合
住宅集合
積水ハウスのマンション「グランドメゾン」では、「集合住宅」ではなく「住宅集合」という考え方を大切にしています。そこには、マンションプロジェクトのあらゆる面において「集合住宅」ではありえなかった、ものづくりへのこだわりがありました。
語り手紹介
左から
設計担当 課長代理 一級建築士 豊川 潤
設計担当 課長代理 一級建築士 夛田 昇太郎
営業担当 主任 宅地建物取引主任者 井草 絹
営業担当 課長 宅地建物取引主任者 鎌北 浩
(2010年現在)

「集合住宅」の固定概念を捨てることからはじまる。

 マンションは注文住宅と異なり、ご成約されるまで住まう人が見えません。そのため、より多くの方に受け入れられやすい画一的な間取り、設備仕様に仕立てられ、敷地利用の効率性が重視されます。グランドメゾンにおいても、住まう人が見えないという条件は同様ですが、一邸一邸が個性豊かな表情と特徴をもつ住まいをつくり続けています。「集合住宅」の概念にとらわれないプロジェクトには、全国の住まい手からご満足の声が寄せられます。その核心は、どこにあるのでしょうか。

そこに住みたいと思うのは、どんな人なのだろう。

 「プロジェクトが決まったとき、まず現地へ足を運びます」グランドメゾン(以下GM)武蔵野設計担当の夛田。現地の自然や雰囲気を肌で感じて「ここに住みたいと思うのは、どんな人でどんな暮らしを求めるのだろう」と考えるのが第一歩。「完成後の建物より、住まう人の暮らしのイメージが先行しますね」(夛田)
 GM日野万願寺設計担当の豊川は「最初現地を訪れたとき、緑が少ない印象で、逆にここへ森をつくりたいと考えました」と話す。「土地の大きさから、まず建てられる規模をはかり、住戸数をかせごうというのが『集合住宅』なら、グランドメゾンの『住宅集合』は、発想の最初から違います」(夛田)
 まず、土地の環境を体感し、あくまで住まう人のライフスタイルを起点に全てのプロジェクトは進みます。

  • グランドメゾン武蔵野 外構
  • グランドメゾン武蔵野 外構

グランドメゾン武蔵野 外構
”自然豊かな武蔵野の地を愛する人”の暮らしを想定して、地域の自然とつながる外構を計画した。

地域の人に親しまれる、”新しい散歩道”に。

 「外でも中でも緑あふれる暮らしにしたくて」(豊川)
 敷地の中に複数の住棟が配置される場合、中庭や遊び場まで含めた敷地内のスペースで、住まい手がどんな生活を繰り広げるのかということを想定して描いていきます。そして、外構、中庭ともに植えるのは、その風土に合わせた樹種。積水ハウスの「五本の樹」計画※の取り組みも、当然グランドメゾンにも取り込まれています。「竣工後に、近所のお子様たちが植栽に集まる蝶と遊んでいるのを見ました。わざわざマンションの前の道を選んで、新しい散歩道になっているのは、うれしかったですね」(鎌北)
 また、外観やエントランス廻りなどは、住民の方に愛着を持っていただくとともに、地域の景観にとっても大きな影響を与える要素。地域に調和しながら、存在感のある建築美を追求するとともに、形だけでなく、外壁の色や素材にもこだわり、周辺の自然や環境に配慮しています。

※ 五本の樹計画…3本は鳥のため、2本は蝶のために、地域の自然環境と調和する5本の樹を選び、それらを中心に植栽・外構を計画する取り組み。

  • 写真

    グランドメゾン伊丹池尻リテラシティーアクアガーデン
    鳥が水遊びをする「バードバス」を中心として、敷地内に設けた水辺のリフレッシュスペース。

  • 写真

    グランドメゾン東海岸南 中庭
    敷地内に設けた中庭は、プライバシーを守るという役割を果たしながら、湘南の日射しを愉しむための場としてもデザインされた。

この住まいを、好きになってくれる人がきっといる。

  • グランドメゾン武蔵野
  • グランドメゾン武蔵野 S-FRtype

    グランドメゾン武蔵野自然を住空間に導き入れる仕掛けとして、リビングの一角にバルコニーを入れ込む。奥まったリビングに、太陽の光が溢れる。

  • グランドメゾン武蔵野
  • グランドメゾン武蔵野 EFtype

    グランドメゾン武蔵野東西両方からの陽光をとりこみ、全ての住戸のリビングを1階へレイアウトするこだわりが生み出した、「クロスメゾネット」。いずれの住戸もリビングから植栽を眺められる。

 「窓から見たいものはなんだろう…って、まず想像します」(夛田)
 住戸の位置によって、同じマンションの中でも窓から見える風景や環境条件の違いが出てきます。条件の違いを特長として楽しんで暮らしていただこうという発想です。「GM武蔵野は、東西南北それぞれに住棟を配置。南棟最上階では、自然光を満喫していただきたくてリビングにルーフバルコニーを入れ込みました。一方、南からの採光が無い東棟では、東西両方からの光と風を取り入れたかった、しかも、植栽の緑を楽しめる1階にリビングを持ってきたかった」(夛田)
 そこで生まれたのが"クロスメゾネット"。全ての住戸のリビングを1階に、階段を上がるとリビングとは反対側の方角の窓を持つ寝室がある。「南向きではないのに、とにかく明るい。お客様もびっくりされます。」(鎌北)
 また、似通った条件の住戸でも、住まい手の生活感の想定から複数のプランが作られます。「LDを向いてお料理したいという方でも“作る・食べる”の区別を重視される方と、お料理を“作る”ことを家族みんなで楽しみたいという方では、求めるLDKの形は異なります。日野万願寺では両方のご家族を想定してそれぞれプランを作りました」(豊川)
 小さいお子様がいらっしゃる家族なら、どんな食事風景だろうか、ご夫婦お二人暮らしなら、どんな趣味を楽しまれるだろうか…と。一歩踏み込んだ生活提案は、何かを優先させる一方で何らかの不便が生じます。メゾネットの階段や、片付いた状態を保ち続けなければならないキッチン…敬遠されるリスクも背負います。それでも、計画のコンセプトは守る。「初めて現地を見た時からずっと住まい手のことを思い描いて到達したプランですから、きっと好きになってくれる人がいると強く信じて設計しています」(夛田)
 「一般的な集合住宅では、駅からの利便性などが決め手になるのですが、グランドメゾンのお客様は『プランを気に入ったから』ご成約してくださる方が多数いらっしゃいます」(井草)

  • グランドメゾンヴェルコート城南 壱番館
  • グランドメゾンヴェルコート城南 壱番館 Etype

    グランドメゾンヴェルコート城南 壱番館福岡市民に親しまれる油山を望む眺めの良さを存分に愉しんでいただくことを重視。眺めを愉しみながら帰宅して、そのままくつろげるように、玄関〜LD空間を南側にレイアウトした。

「住みやすい」から、「住み心地がよい」へ

  • グランドメゾン日野万願寺
  • グランドメゾン日野万願寺 Dtype Etype

    グランドメゾン日野万願寺D、E、いずれのタイプも専有面積は74.40m2。料理と食事のスタイルを意識し、異なる間取りとした。
    ● D type家族と会話しながらも、「作る、食べる」の区別を重視される方の生活スタイルを想定した、対面キッチンの間取り。 ● E type料理をつくることを「みんなで楽しむ」ことを好まれる方のライフスタイルを想定してアイランドキッチンを採用。梁や柱を整理してスッキリと仕上げたLDK。開放的なスペースに、アイランドキッチンが美しく佇む。

 「お客様から、よくお聞きするのが『うまく説明できないけれど良い』という言葉です」(井草)
 そのつかみどころのない表現こそ、いちばん嬉しい、と営業担当も設計担当も口を揃えます。例えば、マンションでは構造上どうしても出てくる柱や梁。全て隠してしまうことは無理でも、できるだけ天井が整った形になるように設計担当者は相当に知恵を絞るといいます。「窓から外を見ても、一緒に目に入る天井の形が凸凹になっていたら、眺望よりもそちらが気になるでしょう?その住まいがもつ魅力を充分に楽しんでいただくために、邪魔をする要素はできるだけ整理していくと開放感も驚くほど増します」(夛田)。
 また、空間を考える上で家具の存在も重要。「よく"洋室5帖"とか言うでしょう?でも私たちは、お子様のお部屋になるだろうなと想定したら、帖数の数字ではなく、そこには"ベッドと机とチェストが置けること"を大切に計画します」(豊川)
 整理は、さらに細部にまで及びます。例えば、室内ドアのレバーハンドルとスイッチの高さをできるだけ揃える。「スッキリと見せることはもちろんですが、暗い時に手探りでもスイッチを探しやすくなります」(夛田)
 ひとつひとつは細かい地味な整理ですが、これらのひと手間こそが『うまく説明できないけれど良い』という表現に結び付きます。「図面だけでは分からない、素敵なヒミツが隠れているのです(笑)」(鎌北)
 「衣食住のうち、衣は『おしゃれ』、食は『おいしい』、という感覚的な表現があり、『着やすい』『食べやすい』とは言わない。私たちは、『住みやすい』はもちろんのこと、これを超えた感覚の部分、いわば『住み心地』の価値を高めることを追求しています」(豊川)

  • グランドメゾン熱田の杜
  • グランドメゾン熱田の杜 Atype

    グランドメゾン熱田の杜ママがおやつを作りながら子どもに食べさせるシーンを想定し、キッチンをとり囲むように丸いダイニングテーブルをしつらえた提案。

住まい手とともに歩む「住宅集合」。

 「住み心地の良さ、例えば、『そこに居れば楽しい』『ずっとそこに居たくなる』ような感覚…、そういったことをご提案していきたい」(井草)
 「住み心地の価値を高めていくのは、実は住まい手ご自身であるとも言えます。私たちは、器としての住み心地にこだわって創る。でも、それが完成ではないのです。住み心地とは、あくまで住まい手が自由に暮していく中で気づき、感じるもの。ただ、器として高い確率で"心地"の部分に届くご提案ができるのは、"住まい手の暮らしをリアルに想定すること"が土台にあるからです」(夛田)
 まず暮らしを考える。すると、親子の会話や樹々とのふれあいが見えてくる。そこではじめて、そのご家族に必要な間取りが発想できる。その一方で、徐々にひとつひとつの暮らしを大きく包み込む、街の景観としての建築が浮かび上がる…。はじめからカタチが決まっているということはないのです。「住宅集合」。その核心にあるのは、「住まい手」の暮らしを見つめ、地域を見つめ、将来を見つめる視点と想い。これからも、「丁寧に考え抜かれた一邸一邸」「街の財産となるグランドメゾン」をご提供できるよう、わたしたちは真摯に取り組んでまいります。

※ ここに掲載の情報は2010年時点の情報に基づいています。