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玄関 機能としつらい。

住まいの形や間取りは同じでも、玄関はひとつとして同じものはありません。それは、しつらい、機能、そしてお住まいになる方の使い方や演出によっていかようにも違ってくるからです。空間として占める割合は小さくとも、住まいの中で大きな意味をもつ「玄関」。その存在をもう一度、見直してみたいと思います。

伝統と歴史のなかで育まれた、玄関の役割

 そもそも玄関とは仏教の禅宗の言葉で、当初は宗教的な社会に限られた存在でした。玄関というものが、広く一般的に設けられるようになったのは明治以降のこと。以後、住宅の様式の変遷に伴い、玄関も形や役割を大きく変えてきました。  日本独特の文化として、靴を脱ぐという住まい方があります。これは靴を脱ぐという動作によって、外の空間とは違う、特別な空間に入ることを意味します。靴を脱いで家にあがることを許されるのは、限られた訪問者だけなのです。また、簡単な用事であれば、玄関先だけで用が済んでしまうこともあるように、玄関は家の中にある外部空間というような「あいまいな領域」なのです。

住む人訪れる人、共に心地よい気配りを形に

写真 マンションの玄関が一戸建ての住宅と違うところは、玄関の外が完全な外部空間ではなく、共用部分という建物の内部であるところでしょう。ですから、共用部分を計画する際は、機能はもちろんですが、そのしつらいも大切です。日本の住まいは本来、外から内へとゆるやかに意識を変えていくという、もてなしの心の現れがありました。この美しい日本の文化をマンションでも受け継いでいきたいと考えます。
 玄関のしつらいとしては、先ず住まいの顔として家の中に人を迎え入れるための外側のしつらいがあります。この部分には多くの機能が必要とされていますので、それを叶えながら、かつ美しい空間となるよう工夫をしています。インターホンや表札、新聞受などドア周りの色や仕上げを揃えたり、取り付け方など細かいところにまで配慮しているのです。
 玄関に入り、そして家へ上がる際に重要なしつらいが玄関床、いわゆる三和(たたき)土ですが、その仕上げは手前のアルコーブと同じものとしています。玄関とは内と外をつなぐ「あいまいな領域」ですので、仕上げを揃えることで、視覚的にもゆるやかにつながる空間を演出しているのです。
 上り框の素材には廊下の仕上げと同じ素材を用いています。最近ではほとんどの場合、廊下はフローリングですので、温もりのある木という素材を積極的にご提案しています。
 最後のしつらいは、家の中から外へと帰る方を送るためのもの。ここでも玄関ドアのデザインに工夫をしています。空間のデザインを損なわないタイプのクローザー。ドア自体も天井いっぱいの高さを採り、また幅も大きめのものを採用することで、玄関という空間をより豊かなものにしています。

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心理面から防犯を考える知恵のデザイン

 玄関は内と外をつなぐ場所であるとともに、外から家の中を守る結界でもあります。昨今、ピッキングやサムターン回しなど防罪も多様化し、これらの物理的な対策については、設計段階でできうる限りの取り組みを行なっています。加えて心理的な対策も行なっています。例えば、アルコーブの照明を共用照明の回路とすることで、在宅不在にかかわらず常に点灯されるようにする、電気メーターなどをメーターボックスの中に設置する。この様な設計的な配慮を加えることでより高い防犯性を目指しています。

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