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「自分をゼロに戻す場所」 中国の古典楽器・二胡の魅力を私たちに伝えてくれるチェン・ミンさん。初来日から10余年。パワーの源は、故郷・蘇州の人々の笑顔と意外にも日本の象徴「富士山」にあるようです。陳 敏 Chen Min 中国蘇州生まれ。上海にて音楽教育家の父と越劇女優の母のもとに育つ。幼い頃より父親から二胡を教わる。上海戯曲学校では二胡を専攻。上海戯劇院オーケストラのメイン二胡奏者として活躍。1991年来日。93年に共立女子大学に入学。97年卒業後、本格的に演奏活動を行う。01年アルバム「I wish -我願-」で脚光を浴び、一連の中国音楽、二胡ブームの火付け役となる。テレビ番組のテーマ曲や映画音楽、ジャンルを越えたアーティストとのコラボレーション活動も積極的に行うなど、常に二胡の可能性を追求し活動の場を広げている。

パワー感じる「お守り」

 私は「富士山」が大好きなんです!
 日本に留学することが決まって、何よりも「見たい」と思っていたのが富士山で、初めて見た時とても感動しました。そして、何かしらパワーを感じたんです。
 私にとって富士山は「自分は今、何が一番したいのか」に気づかせてもらえる場所であり、初心に戻れるというか、「空(くう)の世界」、「ゼロに戻れる」場所なんです。
 私が生まれた蘇州や育った上海では大自然と触れあう機会がなかなかありませんでした。初めて日本に着いて、なんて緑が多くて空がきれいなんだろうと感動したのを覚えています。そして自然が好きになりました。
 今では空や月を見あげたり、道ばたに咲いている一輪の花に命の強さを見ることも。それらすべてのきっかけが富士山だったんです。
 そのパワーを感じるだけで、いつもの自分に戻れる存在の富士山は、私にとって「お守り」みたいなものですね。

「ヤンヌゥヌ」だった蘇州時代

 私が生まれた蘇州は静かな歴史ある町で、人と人との深い触れあいがあった気がします。
 私はご近所の人にすごく愛想がよかったらしく、みんなから「ヤンヌゥヌ」と呼ばれていました。「ヤンヌゥヌ(媛奴奴)」とは蘇州の言葉で「女の子のお人形」という意味です。
 一昨年(2004年)、生まれた場所を久しぶりに訪ねると、共同井戸や生まれた家が嬉しいことにまだ残っていました。ご近所の人たちともお会いできて、「わ〜、ヤンヌゥヌこんなに大きくなっちゃったの〜!?」と喜んでくれました。

守ってほしい「まちなみ」

 最近は蘇州もどんどん変化しています。幸い私が心の中で大切に思っていた風景は残っていましたが、無くなってしまった風景もたくさんあって、もったいないなぁと残念に思いました。
 どんな時代にでも言えることですが、いま生活している人たちが、自然の景色を守って後世に伝えていく姿勢を持っていなければ、次にはつながらないと思います。私たちが自然を見守ると同時に、私たちも自然に見守られている。お互いにずっとそういういい関係でなくてはいけないと思います。

写真

あくまで二胡を通じて

写真 数年前に富士山の頂上まで登ったんですね。5合目から登り始めて、ゆっくり6時間くらいかかったんですけど。
 このとき、富士山に登ったことは嬉しかったのですが、ゴミが多いことがとても残念でした。中国の桂林や張家界などでも同じです。そしてこの経験で、私は自然と人間はどう付き合うべきなのかということを考えはじめました。
 私が富士山から教えられた「自然と人間とのつきあい方」。あくまで私自身に出来ることは、もっと二胡と自然体で向き合うことです。ひょっとしたら、それは自然の中で開かれるコンサートだったり、中国の奥地で子どもたちと会話しながら一緒に音を楽しむことだったり、または日本の子どもたちと何かを一緒にすることかもしれません。
 そういうことを通して、次の世代の子どもたちに、自然との関わりかたや大切さを伝えていけたら、と思っています。