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面出 薫/Kaoru Mende 1950年、東京生まれ。東京芸術大学美術研究科修士課程修了。1990年ライティング プランナーズ アソシエーツを設立。住宅照明から都市・環境照明の分野まで幅広い照明デザインを担当する傍ら、市民参加の照明文化研究会「照明探偵団」の団長として精力的に活動を展開。臨海副都心道路景観、新宿高島屋、東京国際フォーラム、京都駅ビルなどの照明計画を担当。国際照明デザイン賞、国際照明デザイナー協会賞、日本文化デザイン賞、毎日デザイン賞など受賞多数。現在、武蔵野美術大学教授、東京芸術大学、東京大学などの非常勤講師。日本建築学会、日本照明学会、北米照明学会などの会員。著書に「あかり楽しんでますか」(東京書籍)、「あかりと照明の科学」(共著・彰国社)、「あなたも照明探偵団」(日経BP社)など。

ライフスタイルあった“自分のあかり”を見つけよう!

「あかり楽しんでますか」という本を15年前に書きました。いま日本人は生活の中であかりにこだわって楽しんでいるのでしょうか。たとえば音楽や食べ物だとストレートに好みを言うことができる。だけど、あかりや照明についての趣味を聞かれると、モジモジしてしまう。ぼくが「あかり楽しんでますか」というのは、いろいろなあかりのシーンを、うまく活かしているかということ。光を生活のシーンを彩る道具として使い分けて楽しむことです。ちょっと周りを見渡してみれば、至るところにきれいな光と影を見つけられます。それらを教材にして、自分でいいなと思える光を見つけていけばいいんです。たとえばデスクランプのヘッドを壁の方に曲げて間接照明にしたり、新しいキャンドルに火をいれたり。好みや感性であかりを工夫してそのときどきの生活シーンを楽しむことは、ワンランク上の暮らしに大切な要素だと思います。そうなると、あかりが文化として迎えられる。

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◆東京国際フォーラム
(設計:ラファエルヴィニオリ建築士事務所 1996/東京)
東京都庁跡地に建つ複合文化施設。照度を落としながらも暖かく目にやわらかいガラスホールのアップライトは12V-75Wの光学スポットライト約600台。それぞれの照射角度を注意深く丁寧に調整することで、ユニークな構造体を夜空に象徴的に浮かび上がらせている。

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◆京都駅ビル
(設計:原広司+アトリエ・ファイ建築研究所 1997/京都)
幅員27m、高さ60mのガラス大屋根に覆われた中央コンコースを核とした長さ470mの巨大吹き抜け空間「ジオグラフィカルコンコース」は東西へ段丘上に延びて行く。照明デザインはこれまでの駅舎に見られる高照度で均質な光環境を刷新し、京都ならではの「美しい陰影のある駅」をテーマに組み立てられている。

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 いまシンガポールのコンドミニアムに関わっていて、ここでの照明デザインのポイントは、昼間とは違った夜の表情。夕暮れや夜になったときに、外観や敷地全体を、気持ちよく快適にそして美しく見せることが求められました。照明をイメージするときに大切なのは、やはりそこに住んでいる人の生活シーンです。地域風土を含めた生活環境やそこに住まう人のライフスタイルや動線、さらには精神状態までも想像しながら、照明のダイアグラムを組み立てていくんです。ちなみに夜といってもその表情はひとつではありません。まずはサンセットからディナータイムまでのトワイライトタイム。次にディナーからアフターディナーまで。3つめがアフターディナーから12時くらいまで。そして最後に深夜から夜明けを迎える時間帯。この4つの時間帯を基本にコンドミニアムの敷地全体がどういう雰囲気に変化していくべきかを、オンオフと調光をさまざまに組み合わせて考えていくわけです。

さらに快適な空間を創造する“光のダイエット”

 最近、日本人も徐々に明かりそのものを楽しむようになっている。そうした中で“あかりを楽しむ”ために提案したいのは、光のダイエットです。これまで日本人は、光の量ばかりを追求して煌々としたあかりこそ豊かな家庭と思ってきました。でも、ロウソクをひとつ置くことによって逆に会話が生まれる、ということに気づきはじめたわけです。蛍光灯を消してみるとすぐそのよさに気づくはず。さまざまなあかりを楽しむことは、生活そのものを楽しむこと。光の過食症から解放されて、わずかなあかりを美味しく料理して味わう時代なのです。

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◆THE LOFTの照明計画は、トワイライト、ディナー、アフターディナー、ミッドナイトの
4つの時間帯に区分けされ、それぞれに夜の表情を演出する。
写真は、模型によるダイアグラム・シミュレーション。