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人と水vol.4 北国の“みずまつり”と“ふるさとの源流”。岩手、岩泉と山根六郷 龍仙洞の前を流れる川で酷寒の中、沐浴し「上七里 下七里 のぼり水神 くだり水神 四十八滝水神に 願い上げたてまつる」と唱え水をかぶる人たち―龍仙洞みずまつり

鍾乳洞地底湖の清水から生まれた岩泉町の“龍仙洞みずまつり”。のべ千人が集うという、この祭は、歴史的な伝統行事ではないのです。町に伝わる古き良き風習をとりもどし、新しい町興しにつなげたいと、二十二年前、ひとりの町民が思いついたものでした。

訪れる人も全員参加。活気あふれる手づくりの祭。

 盛岡駅から電車で2時間あまり。山間をひたすら東に走り続けると茂市という駅に着きます。そこで乗り換え、さらに50分の終着駅が『岩泉』です。岩手県は、四国と同じくらい大きいと聞いていたけれど、県内を移動すると実際その広さには驚かされます。
 岩泉にある『龍仙洞』は、湧水をたたえる地底湖を持つ鍾乳洞で“みずまつり”は毎年、小正月にここを始点にして行われています。かつて岩泉では、小正月の夜明け前に、家々の当主が井戸から若水を汲み神棚にお供えする風習があったとか。この伝統を復活させることで町興しができないかと考えたのが、食料品店を営む早野さんでした。「岩泉には龍仙洞があり、水神に感謝するのにふさわしい町だから、それをみんなでやりましょう」と呼びかけたのです。清水で身を清めた年男たちが、氷の社に龍仙洞の若水を運ぶ祭をしようということになりました。すると周辺の村々からも祭に参加したいと、大勢集まってきました。さらに秋田県田沢湖町の龍と龍仙洞の龍の交流をしようということになり、双方の御輿が出会う『双龍の出会い』が行われるようになりました。15歳の立志式を終えた中学生が龍の御輿を担ぎます。若いお母さんたちが沿道の人たちにミズキを配り、小さな女の子が拍子木を打ちます。女子高生は巫女の姿で舞い、女子中学生は『夢灯り』を灯します。『老人クラブ』のお年寄りたちは神輿が通る道を雪かきしたり、ご馳走や甘酒をつくったり。この祭は地域の人たち全員参加なのです。加えて他県からも、沐浴してお祈りしたいと願う人たちがやってきます。龍仙洞みずまつりの魅力は、誰でも参加できること。みんながそれぞれ居場所を得て楽しむことができることです。
 『あっけらかん』と名付けられた休憩所の囲炉裏端で食べた煮しめの温かさ、自称38歳(笑)の坂本シゲさんの明るいおしゃべりは、マイナス10度の厳しい寒さを忘れさせてくれました。

坂本シゲさんがつくった郷土料理『煮しめ』と固豆腐の『味噌田楽』。煮しめは正月料理で、7種類とか9種類の奇数の野菜を入れる。