グランドメゾンTOP > グランドメゾンとは > gm > 自然を愛する元気なアート!

gm

自然を愛する元気なアート!みんなの大阪“舞洲ごみ焼却工場”

それは、驚きのインパクト。

写真

 「何!あれ!」車で舞洲へ渡る途中、橋から見えた建物に思わず発した驚きの声。青空にひときわ映えるビビッドな色彩の建物は、これから行こうとしている『舞洲ごみ焼却工場』でした。ここは全国で唯一の美しくデザインされたごみ焼却場だと聞き、訪ねてみることにしたのです。この建物をデザインしたのは、ウィーンの芸術家フンデルトヴァッサーです。彼は環境問題に非常に関心を持っていて、'00年に亡くなるまでずっと地球環境の保全を啓蒙すべく問題を投げかけたとのことでした。

工場には、緑がいっぱい!

写真

 待っていてくださった清水工場長とともに、早速、舞洲工場を巡ります。遠くからでは気付かなかったのですが、工場の周りの散策路はもちろん、窓などの開口部からも木の枝がにょきにょきと生え、青々とした葉を茂らせています。さらに季節の花々が建物を美しく彩ります。アシが茂ったビオトープにはメダカなどの水生生物。その周りのザクロやヤマモモなど実のなる木々に野鳥が飛びかう姿は、とてもここがごみ処理施設だなどとは思えないものでした。春には花見も楽しめるという大島桜には、小さなサクランボが実っています。「ヴァッサーさんは、建物を建てること自体がひとつの環境破壊だと考えて、そのマイナス部分を草木を植えることで補い、年月の経過とともになるべく自然の姿に近づけていかねばならないとおっしゃっていたんです」。赤い壁に這った美しいツタを見上げながら、工場長はおっしゃいました。

ヴァッサーとごみ焼却場。

写真

 「そもそも、どうして大阪に、このようなデザインの工場が建つことになったのですか?」私の質問に工場長は「ウィーンで、ヴァッサーさんがデザインしたシュピッテラウ焼却場を当時の大阪市の関係者が見て、これを大阪にぜひ建てたいと考えたのです。'97年着工で'01年の完成ですから計画はもっと以前の、たぶん15年以上前のことではないでしょうか。まだ環境に対する意識が今ほどは高くない時代に、よく思い切ったものだと思います。ここでは、自然界には真っ直ぐな線や全く同一のカタチはないとのヴァッサーさんの考えから、散策路はすべて平坦ではなく、ひとつ一つ窓のデザインまでも異なっているんです」。なるほど工場長にそう言われ、路面がごくゆるやかに、うねっていることに気付きました。

そして、建物は人を育てる。

 「仕事をしていても、いい気分ですよね。緑がきれいだし」私がそう言うと工場長は「私も含めて、ここで働いている職員はこの職場にいることが本当にうれしいんです。ここには海外の環境問題の専門家や地元の小学生たちなど多くの方々が訪れ、楽しんでいってくださいます。ですから舞洲工場では皆、このヴァッサーの建造物が仕事場だということに誇りが持てるし、仕事に取り組むモチベーションも非常に高いのです」。意志を持ち大事につくられた建物は、みんなが大切に思うのですね。ヴァッサーさんの思いが、人々に染み渡っているように感じられました。ただ最新式のごみ処理施設も、やがては古くなることでしょう。そのときこの建物はどうなるのでしょうか?「やがて焼却炉が老朽化し寿命がきても、建物まで壊すのはあまりにも残念なこと。文化財として残せれば良いなと望んでいるんです」。工場長が言われた、元英国首相チャーチルの『建物は人を育てる』という言葉。それはまさに舞洲工場にぴったりな良い言葉だなぁと思いました。

写真

<舞洲工場へのフンデルトヴァッサーのメッセージ(抜粋)>
●大きく攻撃的で冷たい表情を持つ建物は、人間各々が持っている創造性を活かすことにより、人間らしさを取り戻すことができます。
●建物の外観の立ち上る赤と黄色のストライプは、燃焼工程の炎を表します。緑化は自然と調和したエコロジーなコンセプトを象徴するものです。
●この緑化は単に象徴的なものだけでなく、実際に大阪の人たち、特にここで働く人のために空気を浄化します。誰でも自然と人間性を無視した工場より木々が育っている美しい城で働くことを好むでしょう。
●大阪の焼却工場は人間的な手段で生まれ変わり、人々は誇りを持ち、親しい友人のように考えるでしょう。

※フリーデンスライヒ・フンデルトヴァッサー(1928〜2000)

オーストリア、ウィーン生まれの芸術家。環境問題をテーマにポスターや絵画を制作。「建物は高いほど醜いものは遠くまで見え、最悪の環境公害となるので建築家は環境に対し注意を払わねばなりません。人間が不法占拠してきた自然の領土を、もう一度自然に返してやるべきで、そのため緑化が必要なのです」との主張通り、建物に多くの植物を植えたウィーンの集合住宅やシュピッテラウごみ焼却場などの建築デザインを行う。舞洲工場も完成から年月を経て、燃えさかる炎を表した赤や黄の色彩と木々の緑が美しい調和を見せている。

取材協力/大阪市環境局・舞洲工場(敷地面積約33,000m2、焼却設備処理能力900t/日)
●見学ご案内
http://www.city.osaka.lg.jp/kankyo/page/0000019104.html