
昨年末に公表された「令和4年度税制改正大綱」において、住宅ローン控除(住宅ローン減税)も内容が見直されることになりました。控除率等の変更だけでなく、脱炭素化に向けて動く世界情勢も盛り込んで、住宅の「質」に踏み込む内容になっています。

住宅ローン控除は、住宅ローンを利用して住宅を取得した場合、一定の期間において、原則として、年末時点の借入残高の1%分が所得税や住民税から控除される制度で、2021年末が適用期限とされていました。こちらが4年間延長されます。ただし、住宅ローンの低金利化により、住宅ローン控除額が住宅ローン支払利息額を上回る状況が生じていることを踏まえ、控除率は従来の1%から0.7%に縮小されます。また、控除の適用者の所得要件は、従来の3,000万円以下から2,000万円以下に引き下げられます。控除期間は2023年末までの居住には13年が継続されますが(※1)、2024年以降は、省エネ性能等一定の基準を満たさない限りは、10年(※2)となります。また、この13年間の措置は「今後の状況を踏まえて必要な見直しを行う」とされているので、今後の動向にも注目が必要です。
※1 住宅ローン控除の期間は元来10年でしたが、10%の消費税で住宅を取得したケースでは、3年が追加され13年の期間となる特別措置が適用されていました。今回、感染症の影響による厳しい経済状況を踏まえ、13年が継続されています。
※2 新築住宅・買取再販は2023年末までに建築確認を受けた場合に限られます。

今回の大綱で最も目を惹くところが、住宅の性能によって住宅ローン控除適用の借入限度額に差が生じることです。ヨーロッパで行われた「COP25」で、世界の主要国が温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を実現することを宣言し、日本は2050年までに実現することを宣言しました。今回の税制改正大綱における住宅ローン減税にも、世界的に脱炭素化が進められる潮流と日本の宣言内容が反映され、住宅の「質」によって上乗せ措置が施された内容になっています。
具体的には、認定住宅・ZEH水準省エネ住宅・省エネ基準適合住宅について、借入限度額の上乗せ措置が講じられます。
上乗せ度合が最も高いものは「認定住宅」。「長期優良住宅」または「低炭素住宅」が該当します。長期優良住宅は「長期にわたり住み続けられるための措置が講じられた優良な住宅」で、省エネ性だけでなく耐震性やバリアフリー性など多くの基準を満たして建てられた住宅です。低炭素住宅はエネルギー消費量の低減など二酸化炭素の排出を抑えるための対策が取られた住宅を指します。2023年末までの居住を例にすると、一般住宅の住宅ローン控除における借入限度額は3,000万円であるのに対し、この「認定住宅」の場合は、借入限度額が5,000万円まで引き上げられます。
省エネ性能等が高い住宅は、住宅そのものの経済性、快適性、また太陽光発電や蓄電池で非常時も安心に過ごせるなど、住まいとしてのメリットも多くあります。控除額も大きいこのタイミングで、一度検討してみてはいかがでしょうか。

直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税措置について、2021年末の適用期限が、2年延長されることになりました。非課税の限度額の引き下げ、新耐震基準に適合した住宅用家屋であることの条件追加等、厳しくなる面もありますが、築年数要件の廃止や受贈者の年齢要件の引き下げなど、緩和される面もあるため、こちらの制度も上手に活用したいところです。
毎年何らかの変更が入る税制を理解しそれを上手に活用するには、プロに相談しながらの住まいづくりがやはり安心です。また、住宅の購入・住み替えを税金面で少しでも有利に進めるために、今後は「質」を重視してマイホームを建てることもおすすめします。積水ハウスでは、税制を踏まえた資金面でのアドバイスはもちろん、優遇を受けやすい高性能の住まいづくりにも多くの実績があります。ぜひお気軽に、ご相談ください。
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作成日:2022年1月27日