所得税の計算における必要経費、
控除について理解しよう

税理士

赤松 和弘

赤松会計事務所 所長

所得は、それぞれの性質に応じて「不動産所得」や「事業所得」「給与所得」「譲渡所得」など10種類に区分されます。
そして、各所得を「総合課税」と「分離課税」に区分して、課税標準を算定して、所得税額を計算します。
クリニック経営から生じる所得は「事業所得」となります。
事業所得を計算する際、クリニックの収入から支出を差し引いた利益に対して、単純に税率をかけて税額を求めるわけではありません。税額の計算には、さまざまな"ステージ"が設けられていて、それぞれのステージで、クリニックの支出や各種控除を差し引いて税額を計算します。
今号では、さまざまなステージを整理しながら、それぞれのステージから差し引かれる項目について解説します。

1. それぞれのステージから差し引かれる項目

税額を計算する上でのステージは次のとおりです。

(1) 土地選びのポイント

所得(儲け)を確定するステージで、ここで差し引かれるのは「必要経費」です。ここでは便宜上、所得金額ステージで求められた金額を課税標準とします。

(2) 課税所得ステージ

税金計算の対象となる金額を確定するステージで、ここで差引かれるのは「所得控除」です。

(3) 年税額ステージ

年税額(その年分の所得税額)を確定するステージで、ここで差引かれるのは「税額控除」といいます。

2. 所得金額ステージ

まず、所得金額ステージでは、その年中(1月1日~12月31日)の総収入金額から「必要経費」と呼ばれるものを差し引きます。

(1) 必要経費とは

その年分の事業所得の金額は、その年分の総収入金額から必要経費を控除して計算します。この場合の必要経費に算入すべき金額は、減価償却費・資産損失・引当金などの例外を除き、下記に掲げるものとされています。

つまり、必要経費は上記①や②のように収入金額に対応する経費と③のように期間対応の経費とに区分されます。たとえば、飲食費用については、その飲食が業務遂行上の必要性がポイントとなるため、後日のトラブルを防ぐため面倒でも相手の名前やその関係などの記録をしておきましょう。

(2) 必要経費は債務確定で計算

必要経費は現実に支払った金額ではなく、支払うべき債務の確定したものも含まれます。
たとえば、次に掲げるものは支払いはまだですが、本年の経費に含まれます。

(3) 必要経費とされないもの

下図にある家事費や家事関連費等は原則として所得の処分と考えられ必要経費とされません。
ただし、家事関連費であっても、業務を遂行する上で、必要であることが明らかな部分については、必要経費とされます。

3. 課税所得ステージ

事業に必要な経費以外に納税者およびその扶養親族の世帯構成に対する配慮やその他納税者の個人的事情に適合した応能負担の実現を図るなどの目的で設けられた「所得控除」があります。

課税所得ステージでは、所得ステージで求めた課税標準から所得控除を差し引き課税される所得金額を求めます。所得控除は、制度の目的によって次の14種類に分類されます。

医療費控除は医療費が年間10万円を超えなければ控除が受けられないと思われがちですが、医療費控除の計算式は次のとおりです。

たとえば、医療費が年間9万円のケースで、総所得金額等が130万円の生計を一にする親族等がいる場合は、その親族等で下記の医療費控除を受けることができます。

4. 年税額ステージ

課税所得ステージで求めていた課税される所得金額に税率をかけて税額を求めたいます。
さらに求めた税額から差し引かれるものを「税額控除」といいます。

今までの所得金額ステージと課税所得ステージとで大きく異なるのは計算された税金から差し引くというところです。どのようなものが差し引けるのでしょうか。
税額控除には所得税法によるもの(配当控除、外国税額控除)と租税特別措置法によるもの(住宅ローン控除、生産性向上設備の特別控除、政党等寄付金特別控除など)があります。特にクリニックでも生産性向上設備の特別控除の適用ができる可能性がありますの で、検討されてはいかがでしょうか。

まとめ

クリニックの支出や各種控除はどのステージで差し引かれるかを整理して紹介しました。ステージごとの差し引かれる項目で漏れがないか、顧問税理士などと検討してください。
(2014年12月現在)

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