平成26年度税制改正のポイント

TKC全国会

赤松会計事務所 所長

平成26年度税制改正では、デフレ脱却・経済再生などを目指し、中小企業投資促進税制の拡大や、交際費等の損金不算入制度の見直しなどが講じられました。
医療関係では、医業継続に係る相続・贈与税の納税猶予等の特例措置が創設されたほか、社会保険診療報酬に係る非課税措置等は存続となりました。ただし、税負担の公平性、地域医療の確保を図る観点からそのあり方については、引き続き検討課題となります。今回、診療報酬で手当てされた医療に係る消費税については、税率10%への引き上げ時の対応を総合的に検討することとされています。主な改正点を紹介します。

相続・贈与税関係

医業継続に係る相続・贈与税の納税猶予等の特例

Q1 父が経営する医療法人では、事業承継を見据えて、「持分なし医療法人」への移行を検討していますが、今改正で税制面の優遇措置ができたと聞きました。どのような制度ですか。

A1「持分あり医療法人」から「持分なし医療法人」への移行を円滑に進めるため、「認定医療法人※」であることを前提に、移行計画の認定制度の施行日以後に発生した「相続」「遺贈」「持分放棄によるみなし贈与」に係る相続税、贈与税の納税猶予等の特例が創設されました。

※「認定医療法人」とは、「経過型医療法人」が、厚生労働大臣から「持分なし医療法人」への移行計画の認定を受けた医療法人。認定の期間は、認定制度の施行の日(平成26年10月1日予定)から3年以内。

(1)相続税の納税猶予

個人(相続人)が持分あり医療法人の持分を相続、遺贈により取得し、その医療法人が相続税の申告期限において認定医療法人である場合は、相続人が納付しなければならない相続税額のうち、その認定医療法人の持分に係る課税価格に対する相続税額について、担保の提供を条件に、移行計画の期間満了まで納税が猶予されます。移行期間内に当該相続人がすべての持分を放棄した場合は猶予税額が免除となります。
移行期間内に持分なし医療法人に移行しなかった場合、または認定医療法人の取り消し、持分の払い戻し等の事由が生じたときは、猶予税額を納付しなければなりません。「基金拠出型医療法人」に移行した場合は、持分のうち基金として拠出した部分に対する猶予税額について納付することになります。

(2)贈与税の納税猶予

認定医療法人の出資者が持分を放棄したことにより、他の出資者に贈与税が課せられる場合は、他の出資者が納付しなければならない贈与税額のうち、持分放棄により受けた利益に係る課税価格に対する贈与税額について、担保の提供を条件に、移行計画の期間満了まで納税が猶予されます。移行期間内に当該他の出資者が持分を放棄した場合には猶予税額が免除となります。
なお、移行期間内に「持分なし医療法人」に移行しなかった場合、または基金拠出型医療法人に移行した場合などは、上記(1)と同様の取り扱いとなります。

法人税・所得税関係

生産性向上設備投資促進税制の創設等

Q2 医療法人も対象とされる新たな設備投資に関する制度が創設されたと聞きましたが、その内容について教えてください。

A2 国内での設備投資の回復を目的に、今改正では「生産性向上設備投資促進税制」が新設されました。「産業競争力強化法」の施行日(平成26年1月20日)から平成29年3月31日までに、同法が規定する「生産性向上設備等」(機械装置・工具・器具備品・建物・建物附属設備・構築物・ソフトウェア)に該当し、一定規模以上のものを取得等し事業の用に供した場合、即時償却や特別償却、税額控除が可能となりました。その内容は次のとおりです。

所得拡大促進税制の拡大

Q3 当院では、昨年の税制改正で導入された「所得拡大促進税制」を適用しましたが、今改定ではその制度が拡充されたと聞きました。

A3 現行制度では、スタッフに対する給与等を5%以上増加させた場合、法人税額の20%(中小企業等以外は10%)を上限に、増加額の10%を税額控除できましたが、今改正では、その増加要件が引き下げられました。適用期限については平成30年3月31日まで2年間延長されています。主な改正点は以下のとおりです。

また、個人の所得拡大を目的とした税制としては、「雇用促進税制」が平成25年度から施行されています。これは、事業年度中に雇用者数を5人以上(中小企業は2人以上)、かつ10%以上増加させるなど、一定の要件を満たした場合に、雇用増加数1人当たり40万円の税額控除が認められるものです。この制度が今改定では平成28年3月31日まで2年間延長されました。ちなみに、所得拡大促進税制との併用は認められていません。

交際費等の損金不算入制度の見直し

Q4 交際費等に関する課税制度についても見直されたそうですが。

A4 交際費等の損金不算入制度について、飲食費のために支出する費用の額(社内接待費は除く)の50%を損金算入できるようになりました(大企業も適用可)。中小企業(資本金1億円以下の法人。資本金5億円以上の法人等による完全支配関係のある法人は除く)では、800万円までの交際費等を全額損金算入とするか、接待飲食費の50%を損金算入とするか、選択できるようになり、適用期限は平成28年3月31日までです。

給与所得控除の見直し

Q5 給与所得控除の上限の引き下げが行われたということですが。

A5 給与所得控除の上限額(現行245万円)と、上限額が適用される給与収入(現行1,500万円)が平成28年分の所得税分から段階的に引き下げられます。

消費税関係

医療に係る消費税の課税のあり方の検討

Q6 消費税率8%への引き上げでは、平成26年度診療報酬改定における基本診療料等への上乗せで対応されましたが、10%への引き上げ時の対応については、どのような方向になっているのですか。

A6 医療機関の仕入税額の負担や患者等の負担に配慮しながら、公平性、透明性を確保し、適切な措置を講じることができるように医療保険制度における手当のあり方と併せて、総合的に検討し、結論を得るとされました。日本医師会は、診療報酬による対応では限界があるとして、診療報酬課税化やゼロ税率適用、非課税還付方式の解決法を検討しており、8月半ばまでに方針をまとめる予定としています。

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