贈与税の有効活用の要点を理解しよう!

税理士

岩田 修一

岩田会計事務所 所長

贈与税とは、財産の贈与にかかる税金です。たとえば、自分の子や孫へのプレゼントということで、預金の名義を子や孫に変えると、財産の贈与がなされたものとして、その財産を取得した者に贈与税がかかります。今号では、贈与税の有効活用のポイントについて解説します。

1.贈与も法律行為の1つです。

「あげる」という意思と「もらう」という意思の合意の上に成立するものです。

単に名義を変えただけでは合意があったという事実は外見からはわからないかも知れませんが、こうした「名義変更」の事実が明らかになれば贈与税がかかることになります。
また、贈与税は相続税の補完税であるといわれています。人が亡くなった際に残した財産に対しては相続税が課せられますが、生前にすべての財産を贈与しておけば相続税は課税されないことになり、不公平が生じてしまうことになります。そこで、生前贈与などで財産を無償でもらった時にも、課税措置を講じたわけです。

税金を課する場合には法律が必要です。たとえば、所得税の場合は所得税法、法人税の場合は法人税法というように課税の根拠が規定されていますが、贈与税法という法律はありません。贈与税は、相続税法のなかに、その規定が盛り込まれています。

院長先生は、財産を子や孫に引き継ぐ際の贈与と相続の仕組みについて整理しておくことが重要です。

2.贈与を有効に活用しよう。

贈与税は相続税の税率より高いですが、長年かけて少しずつ贈与していくと、毎年 110 万円の基礎控除を利用でき、低い税率を適用できます。

贈与が相続と決定的に異なるのは、「自分の意思」で「好きなとき」に「好きなだけ」財産を贈与することができるという点です。財産を譲る相手を自分の意思で決められるというのは大きなメリットです。また、贈与税の計算は下記のようにとてもシンプルです。

贈与が相続と決定的に異なるのは、「自分の意思」で「好きなとき」に「好きなだけ」財産を贈与することができるという点です。財産を譲る贈与税は相続税の税率より高いですが、長年かけて少しずつ贈与していくと、毎年 110 万円の基礎控除を利用でき、低い税率を適用できます。この仕組みを活用すれば、上手に贈与をすることも可能になります。好きな人に好きなだけ財産を譲りたいなら、贈与を大いに活用しましょう。

婚姻20年以上の夫婦の優遇制度がある!

婚姻期間が20年以上の夫婦には、贈与税の配偶者控除という優遇制度が認められています。これは通称「妻の座の特典」ともいわれているものですが、婚姻期間20年以上の夫婦のどちらか一方から、もう一方へ、土地・建物などの居住用不動産やその取得資金を贈与した場合、最高2,000万円まで、贈与額から控除できるという優遇制度です。贈与税の基礎控除110万円も併せて利用できますので、最高2,110万円までが控除できることになります。
この際に注意しなければならないのは、「1人の配偶者からの贈与は1回だけ」という点です。基本的に同じ夫婦間では、「1生に1回だけ」使える特例制度なので上手に活用しましょう。結婚生活20年の節目の記念として活用を検討されることをおすすめします。

3.2,500万円までなら非課税になる?

贈与財産と相続財産を合計した金額で相続税を計算するのが「相続時精算課税制度」です。

生前に贈与された財産は、相続が発生したときに、相続財産に含めないで計算します。これに対し、生前に贈与された財産2,500万円までについては贈与税を非課税にする代わりに、その贈与財産と相続財産を合計した金額で相続税を計算するのが「相続時精算課税制度」です。この制度は、贈与財産が2,500万円に達するまで何度でも使え、2,500万円を超えても、税率は20%で贈与できるというものです。たとえば、相続税がかからない(課税遺産総額が相続税の基礎控除額を超えていない)人が子に生前贈与するのには最適な制度です。
ただし、この制度は誰でも使えるわけではありません。平成23年度税制改正大綱では、受贈者の範囲が従前の「子」に加えて「孫」が新たに追加された他、贈与者の年齢要件も「65歳以上」から「60歳以上」に引き下げられています。

(1)65歳以上の親・祖父から20歳以上の子・孫などへの贈与に限られる。
(2)相続時精算課税制度を選択すると、それ以降、暦年課税への変更はできない。

住宅取得資金の贈与は3,500万円まで非課税

相続時精算課税制度には住宅取得資金等に関する特例があります。住宅取得促進と景気対策をあわせて創設され、平成23年12月31日までの時限措置です。
この特例を利用すると、一定の要件を満たした住宅の取得や増改築のための資金の贈与に限り、相続時精算課税制度の非課税枠が2,500万円から1,000万円上積みされて、最大3,500万円までとなります。

生命保険金は贈与財産になることも?!

生命保険の満期金は、「契約者と受取人の関係」によって、その性格が変わります。生命保険金の受取人が妻の場合、満期金は贈与財産とみなされます。また、死亡保険金についても、契約者、被保険者、受取人がそれぞれ違えば、贈与の対象となることもあるので、「契約形態」には注意が必要です。
生命保険の満期がくるのに受取人が奥様になっている場合は、すぐに保険受取人を変更しましょう。受取人の変更は、保険会社に契約内容の変更を申し出て手続を行います。変更しても税金に影響することはありません。
また、満期のない終身保険の場合にも、死亡時には満期のある保険金と同様の課税義務が生じるので要注意です。ちなみに、解約返戻金については、契約者が受け取ることになり、解約金が払い込み保険料総額を超える場合には一時所得の課税が生じることがあります。生命保険金については、税務上難しいところがありますので、契約時に保険会社の担当と顧問税理士によく相談して税務の問題をしっかり確かめておくとよいでしょう。

まとめ

贈与税は相続税の補完税という税務体系上の位置づけを理解して賢明な財産分与対策を講じておくことが肝要です。贈与税を効果的に活用することで単純な相続よりも明確なメリットを享受することが可能となります。効果的な生前贈与を行うために相続税と贈与税を一体課税する「相続時精算課税制度」や「住宅取得資金の特例」などの有効活用も検討しましょう。
(2012年3月現在)

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