診療報酬改定の影響を把握し
持続的な経営発展を目指す

税理士

高橋 智享

高瀬会計事務所 所長

2010年の診療報酬改定は全体では0.19%のプラス改定でしたが、医科入院には手厚く医科外来には厳しい内容となりました。2012年には、診療報酬と介護報酬の同時改定が予定されていますが、大きなプラス改定は望めず経営が益々厳しくなることも予想されます。今回は、平成22年度診療報酬改定について解説します。

1. 診療報酬改定の基本方針

平成22年度診療報酬改定率とポイント。

「改定の基本方針を確認」した上で、「自院にとって改定による影響」はどのようなものなのかを把握し、その原因・要因を追及して次期経営計画や予実対比の業績検討会を開催していくことが重要となります。

(1)平成22年度診療報酬改定率

自院のレセプトコンピューターから患者の頭書きデータを抽出し、実際の来院患者の分布図を導き出します。エクセルなどの表計算ソフトを用いれば、図1のような円グラフに簡単にまとめることができます。

上記のように医科、歯科、調剤それぞれの改定率に幅があり、歯科に対する引き上げ率が高く、医科入院に手厚い改定となっています。外来のみの診療所においては、低い改定率(+0.31%)のために改定項目によってはマイナスになってしまう可能性もあります。
例えば、医科診療所の再診料は71点から69点に下がりました。そのために何もしなければ減収です。そこで、今回新設された「明細書発行体制等加算」や「地域医療貢献加算」が算定できれば、再診料は増収となります。
しかしこの2つの加算を算定するには、要件があるために自院の体制を整備していく必要があるのです。

(2)2つの重点課題と4つの視点

この改定には、2つの重点課題と4つの視点という基本方針を確認することができます。

● 2つの重点課題
(1)救急、産科、小児、外科等の医療の再建
救急搬送件数の増加による搬送先の確保が困難な状況を踏まえ、救急・小児救急医療の受入体制の評価やその後方体制にも焦点を充てた評価がなされるようになりました。 また、外科治療に対する評価もなされました。

(2)病院勤務医の負担の軽減(医療従事者の増員に努める医療機関への支援)
勤務医の負担軽減に関しては、今回新たに「処遇改善」という目的が加わった。栄養サポートや呼吸ケアチーム加算などのチーム医療に対する評価など医師以外の他の職種が役割分担することを促す評価も新設されました。

● 4つの視点
(1)充実が求められる領域を適切に評価していく視点
その視点として、「がん治療」・「認知症治療」・「感染症治療」・「肝炎治療」・「精神科救急入院」・「歯科医療」・「新規材料への技術」などが評価の対象となりました。

(2)患者からみて分かりやすく納得でき、安心・安全で、生活の質にも配慮した医療を実現する視点
その視点として、医療機関の明細書発行の義務化だけでなく、照会があった場合の説明などの負担と義務が医療機関に求められることになりました。

(3)医療と介護の機能分化と連携の推進等を通じて、質が高く効率的な医療を実現する視点
その視点として、急性期医療を脱した患者を受け入れる病床の機能の明確化や在宅医療や訪問看護における機能の拡大を目的とした評価となっています。

(4)効率化の余地があると思われる領域を適正化する視点
その視点として、後発医薬品の使用促進を特徴としています。

2. 自院にとって今回の改定による影響は

「1.改定の基本方針」で、医療制度の方向性を認識したうえで次に自院 のデータを把握するところから改善が始まるのです。

TKCの医業会計データベース(MX2・MX3)は、充実した経営機能分析により、病医院の経営改善を強力にサポートします。

(1) 診療報酬改定後の医業収益の分析

「外来収益分析表」および「入院収益分析表」により、診療報酬改定後の医業収益影響を分析します。

(2) 月例経営分析表

全国の黒字医療機関平均(同標榜科)と貴病医院の最新業績を比較できます。

(3) 分析結果から原因・要因の把握

全国の黒字医療機関平均(同標榜科)と貴病医院の最新業績を比較できます。

(4) 継続MASシステムによる増収の仕組みを作成

収益の変動要因を把握したら、継続MASシステムを利用して、次期経営計画や予算と実績を検証する業績検討会を開催します。

まとめ

診療報酬の改定内容から、これからの医療の方向性がある程度見えてきます。その方向に向けて、医療資源を適切かつ効率的に配置することが重要となってきます。
また、医業会計データベース等の数値的データから自院の機能を明確にして、地域の中でどう位置づけるかを真剣に考える事で、持続的な経営発展を成し遂げることができるのです。
(2010年12月現在)

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