おさえておきたい
土地・建物の評価方法の基本

税理士

石川 誠

石川会計事務所 所長

相続や贈与により取得した財産には、相続税や贈与税がかかります。このときの財産の評価は「時価」によることになっていますが、通常は「財産評価基本通達(財産評価基準書)」を適用します。ただし、法令で別段の定めのあるもの、および別に通達するものについては、それによることになります。土地・建物の評価方法の基本を正しく理解することが大切です。

1.土地の価値判断

土地は、原則として、「宅地」「田」「畑」「山林」などの地目ごとに評価することになります。

ちなみに土地の地目は、登記簿に記載された地目ではなく、課税時期の現況によって判定されることになります(評基通7)。土地の評価方法については、「路線価方式」と「倍率方式」という2つの方式があります。

■路線価方式

路線価方式とは、路線価が定められている地域の土地の評価方法です。路線価とは、路線(道路)に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価額のことを指します。
路線価方式における土地の評価額は、路線価をその土地の形状などに応じて、奥行価格補正率などの各種補正率で補正した後に、その土地の面積を掛けて計算することになります。

■倍率方式

倍率方式とは、路線価が定められていない地域の土地の評価方法です。倍率方式における土地の評価額は、その土地の固定資産税評価額に一定の倍率を掛けて計算します。
自分の所有する土地や建物の固定資産税評価額は、市町村の税務課(東京都23区は都税事務所)の固定資産課税台帳で知ることができます。また、相続税の申告などで必要なときは、評価額の証明書を発行してもらうこともできます。
この固定資産税評価額は、固定資産税と都市計画税の税額を通知するため、毎年4月ごろに納税通知書が送られてきます。納税通知書には、課税標準額、税率、税額が記載されており、課税標準額に税率を乗じると税額になります。課税標準額は、基本的に固定資産税評価額と同額ですが、住宅用地の特例などの軽減措置の適用や負担調整がある場合には、異なる金額になります。
また、路線価図及び評価倍率表は、国税庁ホームページの「路線価図等閲覧コーナー」のほか、全国の国税局や税務署で閲覧することができます。

2.賃貸している土地や家屋について

賃貸している土地や家屋については、権利関係に応じて評価額が調整 されることになっています。

相続した宅地等が住宅や事業用として使われている場合には、限度面積までの部分について、その評価額の一定割合を減額する相続税の特例があります。負担付贈与あるいは個人の間の対価をともなう取引により取得した土地や家屋等について贈与税を計算するときは、通常の取引価額によって評価することになります。

■家屋を貸している場合の建物の評価

貸家の用に供されている家屋は、その家屋の固定資産税評価額に借家権割合と賃貸割合を乗じた価額を、その家屋の固定資産税評価額から控除して評価することになります。 具体的には、家屋の固定資産税評価額が1000万円、借家権割合が30%である地域、賃貸割合が100%である場合、〔1,000万円-1,000万円×30%×100%〕で財産評価額は700万円となります。

■貸駐車場として利用している土地の評価

土地の所有者が、自らその土地を貸駐車場として利用している場合には、その土地の自用地としての価額により評価します。
このように自用地としての価額により評価するのは、土地の所有者が、その土地をそのままの状態で(または土地に設備を施して)貸駐車場を経営することは、その土地で一定の期間、自動車を保管することを引き受けることであり、このような自動車を保管することを目的とする契約は、土地の利用そのものを目的とした賃貸借契約とは本質的に異なる権利関係ですので、この場合の駐車場の利用権は、その契約期間に関係なく、その土地自体に及ぶものではないと考えられるためです。
ただし、車庫などの施設を駐車場の利用者の費用でつくることを認めるような契約の場合には、土地の賃貸借になると考えられますので、その土地の自用地としての価額から、賃借権の価額を控除した金額によって評価します。
この場合の賃借権の価額は、以下の区分に応じたそれぞれの価額によります。

※1:「法定地上権割合」は、相続税法第23条に規定する割合です。
※2:自用地としての価額に乗ずる割合が、次の割合を下回る場合には、自用地としての価額に次の割合を乗じて計算した金額が賃借権の価額となります。

※1:「法定地上権割合」は、相続税法第23条に規定する割合です。
※2:自用地としての価額に乗ずる割合が、次の割合を下回る場合には、自用地としての価額に次の割合を乗じて計算した金額が賃借権の価額となります。

上記のように駐車場として利用している土地については、現在の状況により、ほとんどの場合、雑種地として評価されることとなります。
雑種地の自用地としての価額は、その雑種地と状況が類似する付近の土地について評価した1平方メートル当たりの評価額を基とし、その土地とその雑種地との位置、形状などの条件の差を考慮して評定した価額に、その雑種地の地積を乗じて計算した金額によって評価することになります。

まとめ

土地と建物の評価方法にはさまざまなケースに応じた複雑な計算方法があります。今回で紹介したものは、主に相続税や贈与税を計算する上での評価方法ですが、不動産鑑定評価による方法もありますのでその目的に応じて、税理士や不動産鑑定士などの専門家に相談することをお勧めします。
(2010年3月現在)

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