土地・建物の所有者にかかる税金の留意点

税理士

石川 誠

石川会計事務所 所長

医療・福祉は労働集約的な産業といえますが、同時に病院や社会福祉施設は広い土地と大きな建物が必要な資本集約的な面もあわせ持っています。そこで、土地・建物にかかる税金の留意点をしっかりおさえることが大切です。

1.土地や建物を所有することでかかる税金とは

土地や建物を取得(購入)するときにかかる「印紙税」「不動産取得税」「登録免許税」と、その所有にかかる「固定資産税・都市計画税」があります。

■印紙税

土地や建物の売買契約書や建築請負契約書には印紙をはることが必要です。印紙の金額は契約額によって異なります。

■不動産取得税(県税)

「不動産取得」とは、実際に不動産の所有権を取得することをいいます。したがって、等価交換のように経済的利益が発生しない場合や、未登記・中間登記省略の場合にも課税されます。なお、相続(相続人以外の人になされた特定遺贈を除く)による取得などについては、非課税とされています。固定資産税評価額が課税標準額となります。

不動産の取得時期と税率は、下表のとおりになりますので、以下のような計算式で税額を算出することになります。

※1:平成20年3月31日以前に取得した場合は3.5%です。
※2:課税標準額は不動産の価格です。
(ただし、軽減措置等がある場合には、軽減措置等による控除後の順になります。)

■登録免許税(国税)

登録免許税は不動産、船舶、会社、人の資格などについての登記や登録、特許、免許、許可、認可、認定、指定及び技能証明について課税されます。
不動産の所有権の移転登記や航空機の登録のように不動産の価額や航空機の重量に一定の税率を乗じることになっているもの、商業登記の役員登記のように1件当たりの定額になっているものなどがあります。
土地や建物に関しては、市町村の固定資産税評価額の価格に税率をかけて計算します。

※特例税率は、2006年3月31日までの登記に適用。軽減税率は、住宅にかかわる軽減措置。

■固定資産税・都市計画税(市町村)

固定資産税とは、土地・家屋・償却資産に対して課せられる地方税で、その資産所在の市町村が課すものです。都市計画税とは、都市計画事業や土地区画整理事業の費用などに充てる目的で、市街地区域所在の土地・家屋について課せられるものです。
毎年1月1日(賦課期日)現在、○○市町村内に固定資産を所有している人が納税義務者となります。

総務大臣が定めた固定資産評価基準に基づいて固定資産を評価し、それをもとに課税標準額を算定します。

さらに、市街化区域内に土地または家屋を所有している人には都市計画税もかかります。

住宅部分の軽減
住宅用地については、課税標準の特例措置が講じられています。

用途による非課税
社会福祉法人などが一定の用途に供する固定資産には固定資産税を課すことができないことになっています。

2.個人で所有する建物を医療法人に貸し付けている場合

貸し付けている不動産の規模や件数によっては事業税が関係してきます。また、消費税の納税義務が発生する場合もありますので注意が必要です。

■事業税(県税)

院長個人が所有する土地や建物を医療法人が経営する病院・診療所などに賃貸することがありますが、それが不動産貸付業および駐車場業の事業と認定されると自由診療報酬と同様に課税所得金額から290万円を控除した金額に5%の事業税がかかります。

■消費税(国税、地方税)

院長個人が所有する土地や建物を、医療法人が経営する病院・診療所などに賃貸する場合は、消費税法上の「課税売上」になります。消費税には免税点制度が設けられており、その課税期間に係る基準期間(個人事業者の場合はその年の前々年)の課税売上高が1千万円以下の場合には、その課税期間の納税義務は免除されます。
新たに事業を始めた場合、その時点では基準期間の売上げはないわけですから、原則として、免税事業者になります。なお、免税事業者でも届出書を提出することにより課税事業者になることを選択することができます。

■事業所税について

「事業所税」とは土地や建物が自分の所有するものであるかどうかを問わず、事業が行われている場所の事業所家屋の床面積や従業者に対する給与総額にかかるものです。
ただし、課税団体(東京都など)がある一定規模以上の指定都市等に限られています。しかも、非課税施設等には病院、診療所、社会福祉事業用施設等が含まれていますのでほとんどの場合は該当しないと思われます(地方税法701条)。

まとめ

開業して診療所の開設をする場合、土地や建物を購入するのか賃借にするのかなど判断をする必要があります。また、医療法人にする場合も同じように法人所有にするか賃借にするのかはケースバイケースです。所有すれば様々な税金が関係してきますが、賃借であれば賃借料に消費税がかかるくらいでシンプルです。選択の余地があるような場合は比較してみてどちらが有利か検討が必要です。
(2009年5月現在)

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