相続基礎知識

税理士

田島 隆雄

田島会計事務所 所長

病医院の理事長・院長先生の身に万が一、病気や不慮の事故などが起きて亡くなられた場合、残されたご家族は、病医院承継や相続税などの問題に突然、直面することになります。こうした場合でもご家族が困らないように、理事長・院長先生は生前から相続対策をしっかりと検討しておく必要があります。

1.相続税と法定相続人について

遺産を相続したとしても必ず相続税がかかるとは限りません。では相続税が発生するのは、どのような場合なのか解説します。

■相続税とは

亡くなった人(被相続人)の遺産を実際にもらった人(相続人)にかかる税金です。つまり、被相続人の遺産を実際に取得していなければ相続税はかかりません。
納税額は全体の相続税のうち、取得した相続取得割合に応じて算定されることになります。つまり、1人がすべての遺産を相続することになれば、その個人がすべて納税することになります。

相続税は相続財産が一定額、つまり「基礎控除額」を超えることによって初めて発生することになります。基礎控除額は 次のように計算します。

現預金や土地・建物、有価証券、生命保険金などの相続財産から、銀行借入金や未払金、葬式費用などを差し引いた課税財産価格が、基礎控除額を超える場合、相続税が発生し、超えない場合は発生しません。

■法定相続人とは

法定相続人になれるのは、被相続人の「配偶者」「子ども」「父母」「兄弟姉妹」となっています。相続となった場合、婚姻期間などに関係なく必ず配偶者は法定相続人となり、そのほかの方々については、法定相続人になれる順位が下欄のように決まっています。つまり、同時に子どもと父母、兄弟姉妹が相続することはありません。

相続内容などの決定については、被相続人が生前に遺言書を残して決定しておく方法と、相続人がお互いに話し合って決める方法があります。
話し合う場合は、「遺産分割協議書」を作成し、それぞれの相続人が署名押印の上、決定することになります。なお、「公正証書遺言」がある場合でも、遺産分割協議によって決定することができます。

■相続税額の具体的例

配偶者と子どもが1人いる場合のケースで、実際に計算してみましょう。

相続税は、法定相続人の取得金額に応じて税率とそれにともなう控除額が異なります。このケースでは、法定相続人の法定取得金額が1億6,500万円ですので、税率は40%となっており、ここから控除額1,700万円を差し引いた金額が納税額となります。全体の相続税は9,800万円となり、相続割合(具体的な相続取得割合)に応じて、それぞれが納税することになります。
配偶者には、税額の軽減措置があります。これは、配偶者が相続した場合、相続取得財産のうち1億6,000万円まで、相続税の負担をなくしたもので、その金額を超えて相続した場合でも、取得財産の1/2まで相続税がゼロ負担となります。

■相続税の申告と納税

申告と納税の期限は法律で、相続開始(死亡の日)の翌日から10か月以内となっています。

※「準確定申告」とは、たとえば、個人クリニックの院長先生が死亡した場合、死亡の日の翌月から4ヶ月以内にその相続人が院長先生に代わって、平成19年1月1日から死亡の日までのクリニックの事業所得の申告を行うものです。
上記のケースでは、平成20年1月10日までに申告と納税をしなければなりません。

2.いざという時に困らないための事前対策が大切です

事前に検討しておくべきことは、できるだけ相続をスムーズに運べるように、そして、親族間の争いが起きないようにしておくことです。具体的にどのようなことを行えばよいのか解説していきます。

相続税の納税資金をどのように準備しておくかということも生前から検討しておくことが大切です。事前対策の項目として下表のようなことがあります。

そのほかにも、よくある質問とともに解説します。

まとめ

基本的な相続に関する理解を示しました。それぞれの当事者により状況は千差万別です。従って、事前対策もオーダーメイドとならざるを得ません。ポイントは病医院承継と家計承継が同時進行をしてしまう事です。早めに税理士等の専門家にご相談すると良いでしょう。
(2009年2月現在)

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