医事データーの上手な活用方法

税理士

丸山 定夫

MCS税理士法人 所長

第5次医療法の改正、新高齢者医療制度の施行、さらに診療報酬改訂と病医院経営に大きな影響を与える抜本的制度改革が、20年4月以降本格的に実施されましたが、これはクリニックにも大きな影響を及ぼすことが予想されます。 特に収入が大きく変化することが考えられますが、この変化に対応するため、自院の医業収益について現状把握と管理を行い、そのデーターを日頃見ながら経営対策をする必要があります。

1.必要となるデーターとは

保険収入で見ると基本となるデーターは3つです。

クリニックの1ヶ月あたりの保険収入で見てみますと

となります

開業当初は、これらのデーターを毎日見ながら管理し、増患対策を行っていきます。 自院の目標となる指標は、院長にわかりやすい目標とすることが重要で、1日当たりの患者数は何人必要か? その場合の前提条件となる一人1日当たり診療単価はいくらか? 診療日数は、通院回数はなど具体的に明示するとよいでしょう。

2.データーの生かし方

データーがあれば、さらに多くの分析ができます。

患者動向分析

●新患の人数や割合は変化に気づく重要な指標です。毎月推移を見て管理してください。
●一日あたり患者数はどうのように推移しているか、目標と比べてどうか。
参考となる指数 … 述べ患者数(実日数)
●通院回数はどうか。
クリニックの診療内容、疾病内容で変わってきますので自院の特長を分析し、統計資料と比べてみてください。
参考となる指数 … 通院回数 = 延べ患者数 ÷ 総件数
●診療日数は、地域住民の要望に応えられるような設定になっていますか。
●診療単価はどうか、またどのように推移しているか。

日本医師会レセプト調査 18年4月実績

診療圏分析

自院の来院患者を調査し、どの地域から来院していかを地図上に示し、現状の診療圏を把握します。 次に地域の人口データーからその診療圏の患者予測し、自院の分析データーと比較します。 これらにより弱い地域、強い地域など自院の特長を捉えるとともに、弱い地域でもっと選ばれてもいい地域では看板など、PRを重点的に見直すなど競合医院との差別化を諮るなどの具体的対策を考え実施します。

診療単価分析

診療単価とは1人1日当たり点数で、全国平均が公表されていますので比較し、平均より低い場合には診療行為データーをレセプトより取り出し、個々の行為別に内容を吟味し原因分析と対応策を考えます。 低い場合には行為点数のとり漏れがないか確認します。
診療ガイドラインなどと比べ必要な行為が不足しているような場合には自院のガイドラインを見直すなど検討してみることが重要です。 今後は地域連携の観点から連携パス、診療ガイドラインが普及していきますのでその機会に見直ししてみることもいいでしょう。

3.経営対応策

費用には、大きく分けて人に関わる費用と物に関わる費用とがあります。

●開業当初においては1日平均患者数が目標に達するまでは、積極的に増患対策、認知活動を実施しながら、HP、院内ニュース、医療情報提供、勉強会を通じ活動を行います。

●開業数年後からで医業収益の減少などはまず、新患数が減少するなどの兆候が見られますので、毎月この指標は確認が必要で、その兆候が見られた場合には原因分析を行います。
原因分析のひとつとして患者満足度調査、アンケート調査などを行いながら分析をし対応策を考えることになります。 分析でよく出てくるのが患者説明不足、接遇マナーの不徹底、競合医院の出現、院内不潔などで、早急に対応するものと、時間を掛けて対応するものとに分けて項目別に具体的実施策を掲げ、患者さんにもわかるように院内掲示し実施していくのがよいでしょう。

まとめ

今後の診療所経営は、院長の明確な判断が重要となってきます。 変化の兆候を素早く捉えるために日ごろの診療活動のデーターが毎日、あるいは毎月早い時期に院長のもとに集まるシステムを構築しましょう!
(2008年7月現在)

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