消費税の基本知識

税理士

丸山 定夫

赤松会計事務所 所長

消費税の改正が論議されていますが、税率が上げられますとクリニック経営にも、多大な影響が及びます。 今から消費税の基本を正しく理解することが大切です。

1.消費税とは

まず、どのような取引が消費税の課税対象になるのか、なぜ非課税取引があるのかなど基本的しくみを理解しましょう。

消費税は、消費税法上「事業者が、国内において事業として行う資産の譲渡、貸付、役務の提供」を課税の対象としています。 つまり商品販売や資産の譲渡、サービスを受ける際に消費者を税の最終負担者とし、商品販売やサービス提供をした事業者を納税義務者とするため間接税と呼ばれています。
また、基本的にサービス提供については消費税が課されることとされていますが、社会政策上の配慮などから、消費税を課さないという非課税取引があり医療機関が行う社会保険診療などがこれにあたります。
他の事業者とは異なり、医療機関の行うサービスについては非課税取引が多くありますので、消費税の基礎を理解することはとても重要です。

2.課税取引と非課税取引

医療機関に入ってくる収入、出ていく支出すべてについて正しく区分することが重要となります。

医療機関が行う診療サービスなどで、どのようなものが消費税の課される課税取引か、消費税が課されない非課税取引かが、消費税の正しい税務申告や納税を行ううえで重要です。

消費税法では、原則は、すべてのサービスが消費税の課される対象であり、一定のものを非課税として限定列挙しています。

3.課税事業者と免税事業者

いつの課税売上が1,000万以上になると申告する必要があるのでしょう。

本来、医療機関は事業者であるため原則的には消費税の納税義務があります。しかし、小規模の事業者の特例として消費税の納税義務を免除する規定があるため消費税を納税しない免税事業者の制度があります。
免税事業者とは、2年前の課税売上高が1,000万円以下の場合です。 反対に、課税事業者とは2年前の課税売上が1,000万円を超える場合です。 また、2年前の課税売上高がない開業当初の個人開業医及び出資金1,000万円以下の医療法人などの医療機関は免税事業者となります。
ただし、医療法人などの法人は、法人の特例で出資金の額が1,000万円以上である場合には、開業当初から課税事業者とされます。

4.消費税計算の仕組み

預った消費税から、支払った消費税を差し引いて計算します。

消費税は、最終消費者から預かった税金を納付するという性格の間接税です。そのため消費税の転嫁ということが行われています。 たとえば、315万円の予防接種の収入があったとします。これに対する予防接種のワクチン代が105万円かかったとします。
預かった消費税は15万円ですが、全額を納付するのではありません。ワクチン代などの消費税5万円を差し引いた10万円を納付します。

5.消費税の具体的計算

原則課税と簡易課税とでは納付税額に違いが出ます。どちらが有利か検討が必要です。

消費税の計算構造は4に述べたとおりですが、実際には大変複雑なものとなります。 特に医療機関では非課税売上が多くなる場合があるので、課税売上割合(課税売上と非課税売上の比率)が低下し、これが計算を複雑にします。
具体的な計算方法を大きく分けると、売上の消費税から仕入の消費税を控除する「原則計算」と売上の消費税から、売上の種類に応じた一定率を売上の消費税に乗じたものを仕入の消費税とみなす「簡易課税」の2つがあります。

原則課税
売上の消費税から仕入の消費税を控除するのですが、課税売上割合が95%未満である場合、控除できる仕入の消費税額に制限がかけられ課税売上割合を乗じた金額しか控除できません。 このため非課税売上の多い医療機関は差し引ける金額が少なくなります。

簡易課税
中小事業者の特例で2年前の課税売上高が5,000万円以下の場合に適用できます。
売上金額に一定率を乗じて売上にかかる消費税から控除できる税額を、算出するため、売上の区分が重要になります。 これを事業区分といいます。

このような事業区分に応じて売上の消費税から控除できる消費税が違うため、医療機関では診療か物品の販売かなどを正しく記録しなければなりません。 簡易課税とはいえ簡単な計算というものではありません。

まとめ

この機会に自院の消費税について、預った消費税、支払った消費税、納付すべき消費税について院長先生がその実体を理解していただき、税制改正があった場合の影響を知っておく必要があるでしょう。
(2008年2月現在)

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