相続時精算課税制度

税理士

土田 士朗

土田税理士事務所 所長

平成19年度税制改正で「相続時精算課税制度」が一部拡充されました。今回はその改正点も含めて「相続時精算課税制度」について解説します。

1.制度の概要

「相続時精算課税制度」は次世代へ早期に財産移転する事を目的とする制度です。

65才以上の親が20才以上の子(推定相続人、子が亡くなっている場合には、その孫を含みます。以下同じ。)へ財産を贈与し、この制度の適用を受ける旨の選択届出書を提出した場合その他一定の条件に該当する場合には、贈与財産の価額から2,500万円の特別控除額を控除します。贈与財産の価額が、その特別控除額を超える場合にも一律20%の低い税率により贈与税を計算する制度です。

2.「相続時精算課税制度」の注意点と有効活用

あくまで相続が発生した時に精算(再計算)する制度ですので、将来を見越して判断する必要があります。

贈与者である親が亡くなった場合には、相続財産の価額に「相続時精算課税制度」を適用した贈与財産の価額(贈与時の価額)を加算して相続税を計算します。この場合、既に支払った贈与税額を相続税額から控除し、控除しきれない金額は還付されます。読んで字のごとく、相続時に精算する制度なのです。

3.住宅取得のための金銭贈与は3,500万円の特別控除

住宅取得のための金銭贈与なら1,000万円が上乗せされます。

自己の住宅およびその敷地の購入資金、一定の増改築に充てるための金銭の贈与である場合その他一定の条件に該当する場合には、親の年齢条件である65才以上は要求されません。この場合には、2,500万円の特別控除額に上乗せして、1,000万円の住宅資金特別控除額を控除できます。

4.平成19年税制改正・3,000万円特別控除創設

オーナー経営者から後継者への自社株(非上場)の贈与なら、500万円上乗せされる事となりました。

60才以上の親から20才以上の子が、非上場株式(取引所相場のない株式)の贈与を受けた場合その他一定の条件に該当する場合には、 2,500万円の特別控除額に上乗せして、500万円の同族株式等特別控除額を控除できます。

コラム Column
なぜ2.500万円?

「相続時精算課税制度」の特別控除額はなぜ2,500万円なのでしょう?それは、「相続時精算課税制度」のターゲットを、法定相続人が3人であるサラリーマン家庭としたためと言われています。
この場合の相続税の基礎控除額は基礎控除5,000万円+1人1,000万円×法定相続人の数3= 8,000万円であり、その金額を法定相続人3人で除した金額で除した金額の2,666万円を丸めて算定したのです。

まとめ

「相続時精算課税制度」は多額の相続税が発生する資産家には不向きだと言われています。ただし次世代へ早期に財産を移転する目的においては、資産家でも有効活用できると考えられます。その場合には、遺留分の放棄等をセットに考え、遺言書作成をも視野に入れるべきです。(2008年1月現在)

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