既存医療法人の留意点

税理士

丸山 定夫

MCS税理士総合事務所 所長

第5次医療法の改正にともなう既存医療法人の留意点を解説していきます。

1.「当分の間」、存続できる「当分の間」とは

法令制定時に3年なり5年なり特定の期間を見通すことができない場合において定めるものです。

持分ありの社団医療法人が存続できる『当分の間』とは、法令制定時に3年なり5年なり特定の期間を見通すことができない場合において定めるもので、特別の必要があって廃止、改正前の規定を一定期間存続させておく必要があるときに用いられるものです。 したがって、医療法人の約9割を占める持分の定めがある医療法人は、別途立法上の措置が講ぜられるまではそのまま存続し、効力を有することとなります。

2.定款変更が必要

平成20年3月31日までに新医療法に沿って定款、寄付行為の定款変更認可申請が必要となります。

定款変更を社員総会等で決議するとともに都道府県知事に認可をもらわないと有効になりませんので必ず変更申請を行ってください。 変更申請は決算終了後、定時社員総会で決議し行うのがいいかと思いますが、スケジュールに関しては都道府県で取扱が違いますので行政に確認してください。

厚生労働省定款例 第4条関係

地方自治法に基づいて行う指定管理者として管理する病院がある場合、指定管理者として管理する病院等の名称及び開設場所等に関する規定の追加する必要があります。

厚生労働省定款例 第15条関係

事業報告書、監査報告書の作成と3ヶ月以内に都道府県に提出が義務付けられましたので、そのように定款を変更する必要があります。 なお、都道府県に提出された事業報告書、財産目録、貸借対照表、損益計算書は社員、債権者のほか一般の者にも請求があった場合には閲覧に供されます。

厚生労働省定款例 第19条関係

監事の職務内容に関する整備がされましたので、定款を変更する必要があります。

厚生労働省定款例 第23条関係

社員総会又は評議員会の招集に関して次の点が明確にされましたので定款を変更する必要があります。
● 理事長はいつでも臨時総会、理事会を召集することができる。
● 社員総会の議長は社員総会で選任する。 など

厚生労働省定款例 第36条関係

公告に関し準用する民法の規定が変更になったことにより定款変更が必要です。

3.監事の業務の明確化

定款変更後は監査報告書を作成し、報告することとなりました。

前述した定款変更で監事の業務が明確にされたことを示しましたが、定款変更後は監査報告書を作成し、報告することとなりました。厚生労働省「監事監査報告書」様式例を見ますと、少なくともつぎの点について業務を実施する必要があります。

①理事等の職務執行状況を聴取し、重要な決済書類を閲覧し監査を行うため
議事録、決済書類を整理保管するよう指導が必要です。

②後述する事業報告書が正しく法人の状況を示しているか監査するため、法人の
実体を把握する資料を普段から入手する必要があります。

③特に資産の購入、借入金及び理事長と法人の取引、についは事後の監査ではなく
事前に相談を受け規定された手続きを経て行うよう指導が必要です。

4.事業報告書の作成

前述した定款変更で事業報告書を作成し報告することを示したが事業報告書の内容は次のようになります。(※事業報告書は様式記入例が公表されていますので、活用ください。)

5.基金拠出型医療法人へ移行

改正後は医療法人の非営利性の徹底に伴い、持分の定めのない社団医療法人の活動の原資となる資金の調達手段として、新たに定款の定めるところにより基金制度を採用すことができるものとなりました。
これに伴い既存の持分の定めのある社団医療法人が、持分の定めのない社団医療法人となり基金拠出制度を定款に定め移行することが考えられますが、下記の点に充分に注意され検討することが重要です。
改正前と同様、出資限度額法人への移行は認められています。

今回のまとめ

変更前の定款・変更後の定款を申請前に必ず理事・監事は内容を理解してください。また、監査報告書、事業報告書は都道府県に提出し閲覧されますのでよく吟味して作成できるよう準備が必要です。
(2007年9月現在)

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