スタッフの源泉徴収

税理士

佐藤 雅紀

佐藤税務会計事務所 所長

開業医になると雇い主となるため、スタッフの給与から所得税を徴収し、税務署に納付する義務があります。今回ははじめにこれらの一連の手続(源泉徴収)を見ていきましょう。次に一般に給与と考えているもの(月給や賞与)の他に、 所得税の対象となる給与があります。それが現物給与です。知識がないと見落としがちです。どういうものがあるか押さえておきましょう。

1.源泉徴収事務

必ず開業するとスタッフの源泉所得税の納税義務者となります。納品期限までに自ら納納付税額を計算し、納付しなければなりません。

【源泉徴収とは】

開業医になると雇い主となり、勤務医時代とは逆の立場となり、今度はスタッフの給与から所得税を徴収し、税務署に納付する義務があります。従業員(専業専従者やパートタイマー、アルバイトを含みます。)に給与を支払う場合、 所得税をあらかじめ支払額から天引きして徴収することを源泉徴収といいます。

(1)何に基づいて算定するの?

所得税の税額は、税務署が発行している「給与所得の源泉徴収税額表」に基づいて算定します。雇用契約期間や給与の支給の形態などに応じて適用する表(月額表・日額表等)が異なります。

(2)いつまでに納付すればいいの?(納付期限)

①原則
源泉徴収の対象となる給与を支払った月の翌月10日まで

②特例
一定の要件を満たせば、年に2回(原則では年12回)にまとめて納付することが出来ます。

【要件】

1.給与の支給人員が常時10人未満

2.「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を提出し承認を受けること

(3)年末調整とは?

年末に、その年に納付すべき税額(年額)を正しく計算し、実際に源泉徴収してきた税額との調整を図る作業をいいます。

2.現物給与

現物給与に該当すると、その分は通常の給与に加算され、源泉徴収の対象になります。

【現物給与とは】

従業員の給与は、金銭で支給されるのが通常です。しかし金銭以外に給与となるものがあります。それが現物給与です。現物給与は、給与とみなされるため、源泉徴収の対象になります。
色々なケースがあり、取扱は注意を要します。

■現物給与となる主なケース

①食事代等の補助
残業した場合に支給される食事を除いて、支給される食事については、従業員がその価額の半額以上を負担すれば、原則給与に該当しませんが、使用者の負担額が月額3,500円を超える場合はその超える金額は現物給与となります。

②貸与を受ける家屋等
住宅を従業員に無償または廉価で貸す場合は、賃借料相当額と従業員から徴収している賃借料との差額が、現物給与となります。ただし、賃借料相当額の50%以上を徴収していれば課税されません。

③貸付金の利子
従業員にお金を貸付ける場合に、その利息が市場の金利より低いときは、原則として市場の一般的な利息と徴収した利息との差額は現物給与となります。

今回のまとめ

今回は開業した場合毎月必ず行う給料計算の作業のうち、特に従業員の所得税についてお話ししました。
開業医(雇い主)は、源泉徴収義務者となりかつ源泉徴収した所得税の納税義務者となります。 したがっていつまでにいくら納付すべきかなど一連の作業は、把握しておく必要があります。
また、給料計算のなかには所得税の源泉徴収手続のほか、社会保険手続や住民税の特別徴収手続などがあります。 かなり細かく煩雑な作業になりますので、一つ一つ丁寧にかつ慎重に処理していくことが要求されます。

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