大森 広司 プロフィール
住まい研究塾主宰。『SUUMO新築マンション』、『SUUMOマガジン』、『注文住宅』、『Good リフォーム』、オールアバウト「マンション入門」など情報誌やネットで住宅関連全般にわたって取材・執筆活動を続けている。著書に『はじめてのマイホーム 買うときマニュアル』『マンション購入 完全チェックリスト』(ともに日本実業出版社)、『新築マンション買うなら今だ!』(すばる舎)などがある。
住宅ローンを借りて家を買うと、入居から10年間にわたって税金が戻る「住宅ローン控除」が利用できます。この制度は2014年4月の消費税率引き上げと同時に控除額が拡充され、対象となる年末ローン残高の上限がそれまでの2倍の4000万円(一般住宅の場合)になりました。控除される額は年末ローン残高の1%なので、毎年40万円、10年間では最大で400万円が戻る大型減税です。
なお、最大400万円ですが、年末ローン残高が4000万円より小さければ、戻る額も少なくなります。また戻ってくるのは自分が納めた所得税と、住民税の一部からです。借入額が多くても、納めた税金より多く戻るわけではありません。
所得税や住民税は、その人の収入に応じて税額が決まり、収入が多いほど税額も大きくなります。また、同じ収入でも、家族構成などで税額は異なります。例えば専業主婦の妻がいる場合は配偶者控除が受けられ、16歳以上の子どもがいれば扶養控除が受けられるので、いずれも税額は小さくなるといった具合です。
そのため住宅ローン控除で戻る額は、借入額だけでなく収入や家族構成によって変わります。ではどのくらい戻るのか、標準的なケースを想定して試算したのが下の表です。
例えば借入額が1000万円のケースでは、年収にかかわらず戻る額は88万円(概算。以下同)となっています。これは年末ローン残高が小さいため、所得税などの一部しか戻ってこないためです。
一方、借入額4000万円のケースでみると、年収400万円や600万円の場合はファミリーよりシングルや共働きの方が戻る額が多くなっています。これはシングルや共働きは配偶者控除がないぶん、所得税額が大きくなり、戻る額も多くなるためです。ただし年収800万円になると家族構成による差がなくなりますが、これは所得税額よりも年末ローン残高の1%のほうが小さいため、借入額によって戻る額が決まるためです。
ちなみに共働きで夫婦ともに住宅ローンを借り入れる場合は、それぞれの年収と借入額に応じて2人分の控除が受けられます。1人で控除を受けるよりも戻る額が増えるケースもあるでしょう。
作成日:2014年12月18日